トロントのオンタリオ美術館とマクマイケル美術館でカナディアンアートの世界に浸ろう♪

更新:2019/11/24

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街歩きにグルメにショッピング。あとトロント旅行に足りないものは?アートスポット巡り!賑やかな旅の途中では心が落ち着く時間も大切。ぜひ訪れてほしいカナディアンアートの美術館を紹介します!

美術館に行く前にThe Group of sevenを知ろう

カナディアンアートの特徴

「カナディアンアート」って日本ではなじみがないですよね。ヨーロッパ絵画の影響を受けつつも、カナダで生まれた新しいアートのスタイルが「カナディアンアート」と呼ばれているんです。

フランクリン・カーマイケル『Cranberry Lake』

描かれているのは、ほとんどがカナダの大自然。モダンと古典を組み合わせたようなテイストで、枯れ果てた樹木、薄暗い空、雪をかぶった山々、そして寒々とした湖や川が描かれているのが代表的な構成です。生を失った場面にも、光やたくましさ、次にやってくる季節への希望が感じられます。

グループ・オブ・セブンの展示ゾーン

グループ・オブ・セブンとは?

このカナディアンアートのアイデンティティは、7人の画家集団によって確立されたといわれています。1890年代にヨーロッパで風景画を学んだこのメンバーたちは、カナダに戻ったのちにカナダの自然がヨーロッパのものとは異なることを知ります。

・フランクリン・カーマイケル
・ローレン・ハリス
・A.Y.ジャクソン
・フランク・ジョンストン
・アーサー・リズマー
・J.E.H.マクドナルド
・フレデリック・ヴァーリー

彼らが感じたカナダの自然や風景を独自に表現するため、アルゴンキン公園やロッキー・マウンテンなどカナダ各地を旅しながらその場で絵を描いていったといいます。さぞ寒かっただろうと思いますが、鉛筆で下描きをすることなく、短時間で描き上げる手法だったそうです。

A.Y.ジャクソン『The St. Lawrence in Winter』この画家はほかにもカナダの雪景色を描いた作品がたくさんある

「グループ・オブ・セブン」と呼ばれてはいるものの、関わりのあるメンバーは合計10人とされています。上記の7人以外には、トロントを中心にオンタリオ州で活動し、グループ・オブ・セブンの生みの親とされているトム・トムソンなどがいます。

これから紹介する2つの美術館は、グループ・オブ・セブンの展示が充実していて、それぞれ異なる作品を展示しています。カナディアンアートを知るのにふさわしいスポットなので順に特徴を紹介していきますね。

Art Gallery of Ontario (AGO)

オンタリオ美術館って?

ダウンタウントロントの繁華街でひときわ目立つ現代的な建物が、カナダが誇るオンタリオ美術館です。ここは1900年から続く歴史ある美術館ですが、2008年にはトロント生まれの有名建築家フランク・ゲーリーによって大規模に改装されました。

なだらかに湾曲した外装には解放感のある大きなガラス窓が取り付けられ、常に自然光が差し込みます。

内部にはふんだんに木材が使用されており、自然の温かみを感じます。館内に入るとまず目に留まるのが木材で作られたこの螺旋階段。斬新な建築アートを目の前に写真を撮っている人も多く、さっそく芸術の世界に入った感じがします!

世界中から集まったコレクションは約95,000点と所蔵数も建物の大きさも北米最大規模。1階のヨーロピアンアートゾーンでは、モネやファン・ゴッホ、ピカソやルーベンスなど一般的に有名な人の作品がたくさんあります。

クロード・モネ『Charing Cross Bridge, brouillard』

しかも教科書で見たことのない「え?これこの人の絵?」という作品もあるので新しい発見があります!

フィンセント・ファン・ゴッホ『A woman with a spade, seen from behind』

2018年春に期間限定で特別巡回展が開催された草間彌生は、入場チケットが即完売でトロントではちょっとした騒ぎになりました。

トロントニアンの想いが伝わったのか、AGOはInfinity Mirrored Roomという作品のひとつ『LET’S SURVIVE FOREVER』を購入。なんと常設展示されて無料で入れるようになったんです!

ただし、この展示室は順番に2組ずつしか入れません。入るには1階に設置された専用アイパッドで予約する必要があるため、入館したらまず予約することをおすすめします。この時1人でも大丈夫。一緒に入ったカップルにちゃっかり撮影をお願いしたら(笑)こんなに不思議で素敵な写真が撮れました♪

予約は希望時間と氏名、連絡先としてメールアドレス(または電話番号)を入力するだけ。予約時間前には確認メール(もしくは登録した電話番号へテキストメッセージ)が届くので、2階の展示場入り口で提示しましょう。

2階には箱根彫刻の森美術館でも有名なヘンリー・ムーア最大数のコレクションHenry Moore Sculpture Centreが。作品それぞれが大きめなので迫力満点です!

2階のちょっと奥まった場所にありますが、草間彌生展の逆端と覚えておくといいですよ。

そして、AGOオープン当初の目玉作品として知られるのは、イギリスの有名画家オーガスタス・ジョンの『マルケッサ・カザーティ』です。モデルは今でいうマドンナくらいの有名人だったそうで、当時としては斬新な衣装とポーズだったとか。

オーガスタス・ジョンの『The Marchesa Casati

カナディアンアート展示

2階展示エリアの大半を占めるのはカナディアンアート。トム・トムソンの大変貴重なコレクションや、現代画家の作品も展示されています。カナディアンアートの展示作品数がとにかく多いのがAGOの特徴です。

フランクリン・カーマイケル/左上『Red Maples』左下『A Tangle』右『Festive Autumn』

カナダの自然がさまざまな形で表現されていて、特にカナダの秋や冬の美しさを知ることができます。

グループ・オブ・セブンの展示ゾーン

錆色(金物がさびたような深い赤茶けたような色)を上手に使って樹木が描かれていたり、雪の色が見事に表現されていて感銘を受けます。実際に足を運んで感じた、カナダの大自然を心から愛した画家たちによる作品こそ、カナディアンアートなんだと感じました。

絵画を見たままに感じて欲しいと、通常絵画の横に添えてある解説があえて省かれているのもAGOの特徴。あとは気の向くまま自由なスタイルで楽しんでみてください!作品の詳細を確認したい場合は、各部屋にパンフレットが置かれているので、照らし合わせて観ても楽しいですよ。

お洒落な館内でグルメやショッピング

AGO建築の魅力は、2階のダンダス・ストリートに面した解放感のある回廊へ行くと分かります。吹き抜けの廊下が続き、湾曲されたガラス窓は木枠と自然光でとても温かみを感じます。

カフェESPRESSO BAR

休憩できるベンチやカフェもあるので、ちょっと休憩するにはここが最高!

途中でランチや軽食を取りたい時は、地下1階にあるカフェAGOへ。

お洒落なインテリアですよね。でも地下なので知らない方も多くて意外と穴場なんです♪そのほかにもビストロAGOでは本格的なカナディアン料理を堪能できますよ。

美術館エントランスの横に入り口がある

最後に、絶対に立ち寄ってもらいたいのがショップAGO。美術館に入っているギフトショップってセレクションがおもしろいので私は毎回チェックしちゃいます。

ショップAGOでは、お土産になりそうなカナダ産の品が幅広く集まっていて、絵画プリントや本の種類も多いです。

注目はカナダのデザイナーによるアクセサリー!ガラスケースに個性あふれるアクセサリーがずらーっと並んでいて、記念に欲しくなるんです。このピアスは一目惚れ。ワンポイントになりますよね♪

31カナダドル

オンタリオ美術館への行き方

地下鉄セント・パトリック駅を出て、ダンダス・ストリート沿いに進みます。フードコートが入った建物The Village by the Grangeを通り過ぎるとすぐ見えてきます。

AGOの向かいにあるカラフルな肖像画を目印にしてくださいね。

また、ダウンタウントロントの中心に位置する大型ショッピングモール、イートンセンターや、ファッションストリートとして毎週末お洒落なトロントニアンで賑わうクイーン・ストリート・ウェストからも徒歩10分です。便利な場所なので、ショッピングや食事とスケジュールを組み合わせやすいですよ!

最後に観光客にお得な情報です!なんと毎週水曜日の午後6時以降無料で入館できます。また、館内は小さな手荷物のみ持ち込み可で、バックパック等はエントランスに入って右手のクロークで預ける必要があります。特に無料の日は混みあうのでなるべく身軽で行くのがおすすめですよ。

McMichael Canadian Art Collection

マクマイケル美術館って?

オンタリオ美術館でカナディアンアートの魅力を知ったら、きっと訪れてみたくなる場所がここ!マクマイケル・カナディアン・アート・コレクションです。

敷地内はまるで森(笑)。ダウンタウンから45分ほど離れるだけでカナダの大自然を体感できちゃう!一歩足を踏み入れると不思議と心が穏やかになる、そんな力を持っている場所です。

ここはかつてマクマイケルご夫妻の自宅でした。トム・トムソンとグループ・オブ・セブンに惚れ込んだ夫妻が少しずつ収集したコレクションを飾ると、近所の人や学校から子供たちが観に来るようになります。

そこで心優しいご夫妻は、コレクションのすべてを、自宅だったログハウスと所有地とともにオンタリオ州政府に寄贈したんです!美術館内には実際にご夫妻が暮らしていた様子が分かる応接室が当時のままの形で残されています。

グループ・オブ・セブンのメンバーとの写真からも、親しくされていたことがうかがえます。

ここにはメンバーのうち6人が眠るお墓があります。ゆかりが深く、ディープに彼らを学ぶことができる美術館といえます。

グループ・オブ・セブン展示

チケットカウンター左手の回廊から、さっそくグループ・オブ・セブンの作品が並びます。

マクマイケルご夫妻が画商から初めて購入したのがローレン・ハリスの『モントリオール川』。当時、一括払いができず250カナダドルを分割払いでようやく手にしたそうですが、今ではとんでもない値段が付けられているとか!先見の明があったんですね。

ローレン・ハリス『Montreal River』

その後、ローレン・ハリスの風景画は段々と抽象化されたものに変化します。彼が描く山々は個性的でとっても印象的ですよね。よく見ると手を重ねてお祈りを捧げているようにも見えませんか?彼は自然の中にスピリチュアルを求めて描いていったのです。

ローレン・ハリス『Mount Robson』

無料ガイドツアーを利用しよう!

館内の作品を深く知りたい方へおすすめしたいのが無料ガイドツアーです!毎週水曜〜日曜の1日2回、12時半と14時に開催されています。12時半の回ではコレクションの2階部分を中心に回り、14時の回ではカナディアンアートを中心に詳しい解説を聞けます。

サイズが異なる同じ絵画(左:スケッチ、右:キャンバス)を例にして語ってくれるのでわかりやすい

今回のガイドツアーで強く印象に残ったエピソードを紹介しますね。

カナダで風景画を描くには気合いが必要です。秋は景色の移り変わりが早く、冬はとても寒く雪も多い。同じ場所でも1週間後にはまったく異なる絵になります。

そんな悪条件の中で彼らは、小さなスケッチ用のキャンバスとコンパクトにまとめた絵の具を抱えて山に入り、気に入ったスポットを見つけたら一切下描きせず30分以内で描き上げる手法をとっていたとか。信じられませんよね!

手が凍傷になる前に現場を離れ、スタジオに戻ると今度はそのスケッチを見ながら構成を練り、時間をかけて大きなキャンバスで再び同じ絵を描くのだそうです。どちらも素晴らしいですが、必死さが加わっているせいか私はスケッチのほうが何か感じるものがあり気に入りました(笑)。

メンバーたちは、スケッチをする際にはなんと背広と革靴の姿だったとか(笑)!こんなこぼれ話が聞けるのもガイドツアーならではですよ。

自然と一体化!ハイキングもできる

私が感じるマクマイケル・カナディアン・アート・コレクションの最大の魅力は、自然とアートの美しい融合です!カナダの自然をこよなく愛したマクマイケルご夫妻は、自宅に多くのガラス窓を取り入れました。寒くて長い冬にも耐えられるように大量の岩で強度を保っています。

暖炉だけで10トンの岩が使われたとか

窓から映し出される大自然はまるでコレクションの一部ですよね。マクマイケルご夫妻は窓際で毎日変化する生きた絵画も楽しんでいたのかも。

そしてぜひ館外も散歩してみてください。そこかしこに彫刻が展示されていて神秘的な空間が広がっています。

敷地内にはいくつものトレイルがあり、ハイキングまでできちゃうという特典付きです。穏やかすぎて山ガールには物足りないかも?迷子にならない程度に大自然の中でリフレッシュしてくださいね。

天井が高いロビーは解放感たっぷり♪

エントランスを入ると解放感いっぱいの空間が広がり、旅行気分が増してワクワクします。

窓際には、お洒落なカフェMcMichael CAFÉもあり、訪れた日はたくさんの人がグラスワインを片手に思い思いの時間を楽しんでいました。ガイドツアーの合間やランチに利用する人も多いです。

サンドイッチやスープ、サラダなど軽食もあります。

また、私が大好きな美術館のギフトショップもちゃんとありましたよ♪

かつてカナダの小学校で必ず読むように指導されていた絵本も売っています。美術館でこういう絵本をお土産に買うのもいい思い出になりますよね。

絵本『The Hockey Sweater』

訪れた日は期間限定でモード・ルイス展が開催されていました。彼女はカナダでもっとも愛されたフォークアートを描くカナダ人画家。生まれ育ったノバスコシャ州の風景と「幸せな思い出」を表現した絵がとってもかわいいんです!

『Maudie』というタイトルで映画化もされた

特別展も見どころ満載なので、事前に確認しておくとワクワクが増しますよ♪

動物は丸っこい体と愛らしい表情で描かれている

マクマイケル美術館への行き方

【送迎シャトルバス利用】

もっとも便利なのがダウンタウンから出ている送迎バス。ただし、6月(2019年度は6月30日)から10月いっぱいまでの期間で日曜日のみ(行き11時ダウンタウン発、帰り16時美術館発)のサービスです。WEBから事前に予約が必要なのでご注意ください!

・Art Bus予約

行きのバス停は、スパダイナ・アベニュー沿いのHome Senseという日用品ディスカウント店が入っているビルの前にあります。帰りのバス停は、敷地内にあります。

【地下鉄と一般のバス利用】

地下鉄パイオニア・ヴィレッジ駅から、Highway27行のバス60D番でイスリントン・アべニューまで行きます。バス13番に乗り換えてイスリントン・アベニュー・ストップ#3357で下車。そこから徒歩10分ほどです。

【地下鉄とタクシー利用】

バスの乗り継ぎに自信のない方は、地下鉄パイオニア・ヴィレッジ駅からタクシーやUber(約25分、約25カナダドル)を利用するといいですよ。

アートは、詳しくなくても行ってみるとおもしろさを感じるもの。カナディアンアートは古典や宗教画と違い、自然を題材にしているから初めてでも鑑賞しやすいです!ぜひ訪れてみてくださいね。

>>アート&カルチャーを楽しむトロントのおすすめツアーはこちら!

Art Gallery of Ontarioオンタリオ美術館

住所317 Dundas Street West, Toronto, ON, M5T 1G4

電話番号877-225-4246/416-979-6648

営業時間火木10:30~17:00水金10:30~21:00土日10:30~17:30月曜休館

URLhttps://ago.ca/

大人25カナダドル
※25歳以下は無料(ただし18~25歳は身分証の提示が必要)
※毎週水曜は18~21時は入館無料

The McMichael Canadian Art Collectionマクマイケル・カナディアンアート・コレクション

住所10365 Islington Ave, Kleinburg, ON L0J 1C0

電話番号905-893-1121/1-888-213-1121

営業時間夏季と冬季で異なるため下記参照

URLhttp://mcmichael.com/

大人18カナダドル(火曜は15カナダドルに割引)
※シャトルバス代:1人15カナダドル
※駐車場代:1日7カナダドル
<開館時間>
夏季5/1~10/31:10:00~17:00定休なし
冬期11/1~4/30:10:00~16:00月曜定休
※祝日や学校の長期休暇期間は開館

Makiko
アメリカ西海岸、シンガポール在住を経て、現在はカナダ(東部トロント)に移住。人生の生き甲斐はお酒とお酒に合う料理を楽しむこと。日本の食文化の一つである寒天の魅力をカナダに広める活動を行っている。進化し続けるトロントで生活しながら自らも成長し続けたいと今夜もカナディアンワインと共に夢を語ります。■http://canadasantelife.blog.jp/ ■https://kanten.ca/

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