全国【ご当地お雑煮図鑑】全国マップ+一覧表で「餅・汁・具材」の違いがひと目でわかる!
2021/11/05
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目次
- 【早見マップ&一覧表】地域ごとに違うお雑煮の中身!
- こんなにたくさん!!全国のご当地お雑煮をご紹介
- くじら雑煮【青森県】すまし汁・角餅/焼
- クルミ雑煮【岩手県】すまし汁・角餅/焼
- 男鹿雑煮【秋田県】すまし汁・角餅/焼
- 庄内雑煮【山形県】すまし汁・丸餅/煮
- 焼きハゼ雑煮【宮城県】すまし汁・角餅/焼
- こづゆ雑煮【福島県】すまし汁・角餅/焼
- 白和え雑煮【茨城県】豆腐ペーストと白みその甘めスープ・角餅/焼
- はば雑煮【千葉県】すまし汁・角餅/焼
- 菜鶏雑煮【東京都】すまし汁・角餅/焼
- サケとイクラの親子雑煮【新潟県】すまし汁・角餅/焼
- 塩ぶり雑煮【長野県】すまし汁・角餅/焼
- つみれ雑煮【富山県】すまし汁・角餅/焼
- 福来魚雑煮【富山県】すまし汁・角餅/焼
- ねぎ雑煮【石川県】すまし汁・丸餅/煮
- かぶら雑煮【福井県】赤みそ汁・丸餅/煮
- もち菜雑煮【愛知県】すまし汁・角餅/煮
- 白みそ雑煮【京都府】白みそ汁・丸餅/煮
- きなこ雑煮【奈良県】白みそ汁・丸餅/煮
- 赤みそ凝縮雑煮【三重県】赤みそ汁・角餅/焼
- 穴子雑煮【兵庫県】すまし汁・丸餅/焼
- 藻貝雑煮【岡山県】すまし汁・丸餅/煮
- カキ雑煮【広島県】すまし汁・丸餅/煮
- 小豆雑煮【鳥取県】小豆汁・丸餅/煮
- あん餅雑煮【香川県】白みそ汁・あん餅/煮
- アユ雑煮【愛媛県】すまし汁・丸餅/焼
- 博多雑煮【福岡県】すまし汁・丸餅/焼
- 島原具雑煮【長崎県】すまし汁・丸餅/煮
- 納豆雑煮【熊本県】すまし汁・丸餅/煮
- さつまえび雑煮【鹿児島県】すまし汁・丸餅/焼
- 塩豚雑煮 【鹿児島県】すまし汁・丸餅/焼
毎年お正月になると当たり前のように食べられる、お雑煮。行事食としても親しまれている、日本のお正月の定番料理です。お餅の形や汁の風味、具材など、お雑煮の種類も地域での違いが大きく個性的。今回は、全国のご当地お雑煮を各種ご紹介。全国マップと一覧表にもまとめているので、お雑煮の違いも一目瞭然です。地域色豊かな全国のお雑煮を、見比べてみましょう。
【早見マップ&一覧表】地域ごとに違うお雑煮の中身!
【早見マップ】お雑煮の餅と汁の種類
お雑煮の種類は、お餅の形状や汁の味など多種多様。地域によって丸餅や角餅であったり、白みその汁やすまし汁だったりと違いが見られます。もともと日本で食べられてきた餅は丸餅でしたが、丸めるのに手間がかかり大量に作れないという難点がありました。江戸時代になると人口が増加して餅の需要が増えたことから、平らに伸ばした餅を一度にたくさん切り分けられる角餅が考案されました。角餅は運びやすい利点があったため、次第に東日本に伝わっていったといわれています。
汁の風味は、東日本ではかつお節などでだしを取って醤油や塩で調味したすまし汁が多数。関西圏は白みそを使う地域が多いです。まとめるとお雑煮は「東日本では角餅のすまし汁」「関西圏では丸餅のみそ汁」が多く普及していると言えます。ただし、東日本でも丸餅を入れていたり、あんこ入りの餅を使っていたりなど、例外のお雑煮も少なくありません。
【一覧表】お雑煮に入れる具材
都道府県 | 具材 |
---|---|
青森県(八戸) | くじら・大根・にんじん・ごぼう・じゃがいも |
岩手県 | 鶏肉・大根・にんじん・ごぼう・凍り豆腐・せり・いくら・(クルミダレ) |
秋田県(男鹿半島) | ごぼう、長ねぎ、わかめなどの海草 |
山形県 | わらび・こんにゃく・厚揚げまたは油揚げ |
宮城県 | 凍り豆腐・ずいき・ごぼう・大根・にんじん・焼きはぜ・せり・いくら |
福島県 | 豆麩・にんじん・しいたけ・里芋・キクラゲ・糸こんにゃく |
茨城県(常陸太田) | 豆腐 |
千葉県(房総・九十九里) | はば海苔 |
東京都 | 鶏肉・かまぼこ・小松菜・柚子・海苔 |
新潟県(新潟市や新発田市) | 鮭・いくら・にんじん・大根・かまぼこ |
長野県(松本) | 塩ぶり・にんじん・大根・小松菜 |
富山県 | 真いわしのつみれ・昆布・なると・にんじん・ごぼう・白ねぎ |
富山県(黒部地域・新川地域・入善町) | いなだ・にんじん・ごぼう・白ねぎ・こんにゃく・焼豆腐・醤油いくら・柚子 |
石川県(野々市市) | 細ねぎ |
福井県 | 鶏肉・小かぶ |
愛知県(名古屋、尾張地方) | もち菜(小松菜などで代用する場合も) |
京都府 | 里芋・大根・金時にんじん |
奈良県 | 大根・にんじん・里芋・豆腐・削り節・(きなこ) |
三重県(津、中勢地域) | 大根・里芋 |
兵庫県(姫路) | 焼き穴子・大根・にんじん・里芋・三つ葉・柚子 |
岡山県 | 藻貝・穴子・ぶり・かまぼこ・大根・にんじん・ほうれん草・百合根 |
広島県 | カキ・大根・にんじん・水菜・せり・かまぼこ・ぶり・はまぐり・穴子・鶏肉 |
鳥取県 | 小豆 |
香川県 | 大根・金時にんじん・アオサ |
愛媛県(大洲) | 焼干しアユ・大根・しいたけ・豆腐・水菜・かまぼこ・小ねぎ |
福岡県(博多) | かつお菜・ぶり・大根・にんじん・しいたけ・柚子 |
長崎県(島原) | 鶏肉・魚・白菜・大根・にんじん・ごぼう・れんこん・かまぼこ・凍り豆腐・しいたけ・春菊など多種 |
熊本県(山鹿など北部) | 鶏肉・かぶ・にんじん・れんこん・里芋・納豆 |
鹿児島県(薩摩) | えび・里芋・にんじん・しいたけ・小松菜・豆もやし |
鹿児島県(奄美大島、大隅半島) | 塩豚・白菜・なると・柚子 |
お雑煮に入れる具材を、地域別に一覧表シートにまとめました。地域によって違いが大きく見られます。大根やにんじんを入れる地域が多く、少数派では豆腐、ねぎ、もち菜、小豆などをいれるところも。地域ならではの食材としてくじらや鮭、ぶりやカキなどの海鮮類や、豚肉などお雑煮にも土地によって様々な個性が現れています。一覧にして見ると、結局はお雑煮に入れる具材は自由でかまわないのだと思えてくるかもしれませんね。いつものお雑煮に飽きてきたり、違うお雑煮を食べてみたくなったりしたら、一覧を参考に具材を変えてみるという楽しみ方もできそうです。
こんなにたくさん!!全国のご当地お雑煮をご紹介
くじら雑煮【青森県】
すまし汁・角餅/焼
脂ののったくじらの皮と野菜を煮込んだお雑煮。くじらが使われるのは、八戸市にかつて捕鯨基地があり、よく食べられてきた名残といわれています。他には、大根やにんじん、ごぼうなどの野菜で、お雑煮の具材としては珍しいじゃがいもが入ることが多いのも、くじら雑煮の特徴。脂がのったくじらとだしによる濃厚な味わいを感じられるお雑煮です。
クルミ雑煮【岩手県】
すまし汁・角餅/焼
一見すると、具だくさんの野菜と塩や醤油で仕立て、いくらがトッピングされた華やかなお雑煮。大根やにんじん、ごぼうなどの野菜を千切りにして湯がき凍らせた「ひき菜」が使われているのがワンポイントです。お雑煮から取り出したお餅に甘いクルミのタレをつけて食べるのも、クルミ雑煮の醍醐味。クルミのタレをつける前と後で、2通りの食べ方が楽しめます。
男鹿雑煮【秋田県】
すまし汁・角餅/焼
フグや焼きアジでとっただしを調味したすまし汁に、ごぼうや長ねぎ、わかめなどの海藻を入れたお雑煮です。名物のハタハタが原材料の調味料「しょっつる」を醤油の代わりに使うことも。ハタハタだけでなくフグやアジも漁獲できる漁業水揚げ拠点基地である、男鹿半島の特徴が表れています。魚の風味が味わい深い、海鮮系のお雑煮です。
庄内雑煮【山形県】
すまし汁・丸餅/煮
醤油で仕立て、丸餅や野菜を入れたお雑煮です。一見シンプルなお雑煮ですが、庄内雑煮の大きな特徴は、角餅が一般的な東日本の中で珍しく丸餅入りであること。江戸時代の庄内地域は丸餅がメインの西日本と交易していた名残で、庄内雑煮に丸餅が入っているといわれています。主な具材は、わらびや厚揚げ、こんにゃく。鶏肉や油揚げなどを入れたお雑煮も見られます。
焼きハゼ雑煮【宮城県】
すまし汁・角餅/焼
写真提供:宮城県観光プロモーション推進室
焼きハゼのだしに焼いた角餅や「引き菜」を入れ、醤油で味をつけています。引き菜というのは、大根、にんじん、ごぼうなどの根菜と凍り豆腐を細く千切りにして、一度湯がいて水をきった後に凍らせたもの。最後に、だしを取った焼きハゼといくらをトッピング。焼きハゼはだしを取った後に盛りつけで使われるので、だしを取る際に崩れないようにするのがポイントです。お椀からはみ出るほどの焼きハゼといくらのビジュアルが鮮やかで、目を引くお雑煮です。
こづゆ雑煮【福島県】
すまし汁・角餅/焼
福島県会津地方の郷土料理「こづゆ」に焼いた角餅を入れたお雑煮。こづゆはホタテの干し貝柱のだしと具材を煮込んだお吸い物で、おもてなしやハレの日に欠かせない郷土のごちそう料理です。海産物が貴重とされていた会津地方で、干し貝柱などの乾物や保存できる食材を使ってきたのが、こづゆの由来。歴史が感じられる一品です。
白和え雑煮【茨城県】
豆腐ペーストと白味噌の甘めスープ・角餅/焼
すりつぶしたお豆腐を白みそと調味した汁がインパクト絶大な、真っ白なお雑煮。白和え雑煮を主に食べている常陸太田市では「豆腐餅」「べったら餅」と呼ばれることも。舌触りはなめらかで全体的に甘く、お汁粉のようなスイーツ感覚で食べられます。すまし汁タイプが一般的な関東圏の中でも、一風変わったお雑煮です。
はば雑煮【千葉県】
すまし汁・角餅/焼
出典農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/haba_zouni_chiba.html)
房総・九十九里の特産品「はば海苔」を炙ってトッピングした、磯の香り高いお雑煮。野菜などの具材がなく、シンプルにはば海苔の旨味を味わえます。名称から海苔だと思われがちですが、どちらかというと昆布に似た食感や風味が特徴です。地元の漁師さんたちに食べられてきたローカル食材。年始めに食べることで「はばを利かせる」「人間的にはばが出る」といわれています。
菜鶏雑煮【東京都】
すまし汁・角餅/焼
醤油で仕立てた汁に、小松菜などの青菜や鶏、餅を入れたあっさり風味のお雑煮。江戸時代から受け継がれ、「名を取る」「名を持ち上げる」と武家にとっては「名取り」に通ずる縁起物として伝えられています。みそは、失敗して面目を失うという意味の「みそをつける」を連想させるため、すまし汁にしたという説も。海苔やなるとがトッピングされた菜鶏雑煮も見られます。
サケとイクラの親子雑煮【新潟県】
すまし汁・角餅/焼
塩鮭をだしに醤油や塩で調味したすまし汁に具だくさんの根菜を煮込み、焼いた角餅といくらを添えたお雑煮。主に新潟市や新発田市で作られています。いくらはそのままのせたり半ゆで状態のものを使ったりと、地域によって異なります。入れられる具材も根菜の他に、こんにゃくやかまぼこ、焼き豆腐など、家庭によって様々です。
塩ぶり雑煮【長野県】
すまし汁・角餅/焼
ぶりの塩漬けと大根やにんじん、小松菜、焼いた角餅などが入ったお雑煮です。塩ぶり雑煮が受け継がれているのは長野県で、主に作られているのは松本市周辺の地域。年越しやお正月にごちそうとして魚を食べる「年取り魚」の風習が残っていることや、富山湾のぶりを塩漬けにしたものが食されていたことによると考えられています。
つみれ雑煮【富山県】
すまし汁・角餅/焼
醤油仕立てのすまし汁に真いわしのつみれと根菜類で、盛りだくさんのお雑煮。具材にはしいたけやなると、ねぎを入れる家庭も。つみれは作るのに手間がかかることから、ハレの日向けの食材といわれています。かたくちいわしを使わず新鮮な真いわしを使うのも、おいしいつみれ雑煮を作るポイントです。
福来魚雑煮【富山県】
すまし汁・角餅/焼
醤油仕立てのすまし汁に「福来魚(ふくらぎ)」というぶりの幼魚を素焼きにして入れたお雑煮。富山県の黒部地域や新川地域で作られています。福来魚は出世魚であり、「福が来る魚」と名前も縁起良いため、ハレの日の料理によく使われているといわれています。主な具材はにんじん、ごぼう、ねぎ、こんにゃく、焼き豆腐など。お餅が隠れるほど盛りつけるのも特徴です。
ねぎ雑煮【石川県】
すまし汁・丸餅/煮
すまし汁と丸餅に、細ねぎを1本そのままよそうシンプルで上品なお雑煮。ねぎを長いまま切らずに入れているのは、長寿の願いが込められてのことです。主に使われるだしは、かつお節やするめ。だしのうまみやねぎの甘みを、心ゆくまで味わえるお雑煮です。
かぶら雑煮【福井県】
赤みそ汁・丸餅/煮
かつおや昆布のだしに赤みそで仕立て、煮込んだ丸餅とかぶを入れたお雑煮。家庭によっては、かぶの茎や葉、黒砂糖が使われたかぶら雑煮も。「株を上げる」という縁起担ぎとして作られています。白みそのような甘みより塩気の強い赤みそがかぶに染み込んで、さっぱりと食べられるお雑煮です。
もち菜雑煮【愛知県】
すまし汁・角餅/煮
「もち菜」と呼ばれる尾張地方の伝統野菜と煮た角餅を入れただけの、素朴なお雑煮です。愛知県は赤みそがよく使われますが、お雑煮は醤油仕立てのすまし汁。みそを使わないのは「みそをつける(失敗して面目を潰す)」のを避ける縁起担ぎと言われています。他にも、煮餅を使うのは、餅を城に見立てて「城を焼かない」ため、もち菜は「名(菜)を上げる」ゲン担ぎ、と有名武将を輩出した愛知県らしいお雑煮です。
白みそ雑煮【京都府】
白みそ汁・丸餅/煮
煮た丸餅に具材を入れ、白みそで仕立てたまろやかな風味のお雑煮。主な具材は、子孫繁栄や出世を意味する頭芋(里芋の親芋)、真っ赤な紅色に魔よけや慶びの願いを掛けた金時にんじん、そして大根など。大根は丸く切ると円満、亀甲型に切ると長寿と、切り方によって意味が変わります。
きなこ雑煮【奈良県】
白みそ汁・丸餅/煮
根菜類や豆腐を煮込んで甘めの白みそで仕立てたお雑煮。そのまま食べられますが、丸餅を取り出して別に添えた砂糖入りのきなこをつけて食べるのが特徴です。四角い豆腐は「蔵が建つように」という願いから、きなこは豊作や子孫繁栄の祈りを込めて使われています。1杯で2通りの食べ方を楽しめるお雑煮です。
赤みそ凝縮雑煮【三重県】
赤みそ汁・角餅/焼
赤みそで仕立てた汁に、大根や里芋が茶色になるほど煮込み、食べる時に薄めるタイプのお雑煮です。主に作られているのは津市などの中勢地域。農村地域の人々は農作業で多忙のため、家事の時短方法として、どろっとした濃縮みそ汁の作り置きが始まったとされています。一般的なお雑煮ではよく使われるにもかかわらず、青菜が使われていないのも、このお雑煮の特徴です。「泣く(菜を食う)」「無しに通じる」という連想から避けたと言われています。
穴子雑煮【兵庫県】
すまし汁・丸餅/焼
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大根、にんじん、里芋を煮込み、最後に姫路名産のふっくらと白焼きにした穴子を入れ軽く煮たお雑煮。醤油のすまし汁が一般的ですが、神戸付近では白みそ仕立ての穴子雑煮も見られます。鶏肉やかまぼこ、焼き豆腐、三つ葉などの具材が使われることも。少し煮るだけで香ばしい穴子の脂とだしが汁に溶け出し野菜の甘みと相まって、旨味たっぷりのお雑煮です。
藻貝雑煮【岡山県】
すまし汁・丸餅/煮
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いりこやするめいかでだしを取り、藻貝や野菜などの具材を煮込んだ醤油仕立てのお雑煮。藻貝は郷土料理の「ばら寿司」にも欠かせない岡山のキー食材で、濃厚な旨味とコクが特徴です。ほうれん草は下茹でし、盛りつけの際に添えられます。大根やにんじん、出世魚のぶり以外に、縁起が良いとされるゆり根や焼き穴子などの食材が入ることも。豪華で具だくさんなお雑煮です。
カキ雑煮【広島県】
すまし汁・丸餅/煮
「賀来」「福をかき入れる」といった縁起が良い意味を持つと言われているカキを入れたお雑煮。瀬戸内海沿岸は魚介類が豊富なので、地域によってはまぐりやぶり、穴子が入ることも。鶏肉や大根、にんじん、水菜、かまぼこなども入れたお雑煮も見られます。カキや様々な食材のコクが感じられるお雑煮です。
小豆雑煮【鳥取県】
小豆汁・丸餅/煮
邪気を払う効果がある縁起の良い食材の豆を柔らかく煮込み、丸餅を入れたお雑煮。元日の朝におせちと一緒に食卓に並びます。見た目はぜんざいやしるこのようで、味も砂糖で甘くするのが一般的。少数派ですが、塩味の小豆雑煮を作る家庭もあります。鳥取県三朝町では、白いお餅ではなく「とち餅」を小豆の汁に入れて食べる文化もあるようです。
あん餅雑煮【香川県】
白みそ汁・あん餅/煮
白みそ仕立てのいりこだしの汁に、あん入りの丸餅を入れた珍しいお雑煮です。江戸時代、「和三盆」は讃岐の特産でしたが、庶民にとっては手の届かないぜいたく品。お正月くらいは食べたいという思いからこっそり餅の中に入れ、雑煮にして食べたのが始まりと言われています。大根や金時にんじんは、家庭円満の縁起担ぎとして輪切りで入っています。あんの甘さと白みそのほど良い塩気が甘じょっぱくて、クセになりそうなお雑煮です。
アユ雑煮【愛媛県】
すまし汁・丸餅/焼
炭火で焼き上げたアユの焼干しを使ってとっただしを、醤油で仕立て、そこにしいたけや大根、水菜を入れて煮込んだお雑煮です。だしを取った後のアユを最後上に盛りつけるので、見た目のインパクトが大きいのが特徴。作られている地域は、アユの産地でもある愛媛県の大洲。だし取り用と盛りつけ用のアユを別々に分けて作られることも。香ばしい焼きアユのだしは上品な風味で、あっさりと食べられます。
博多雑煮【福岡県】
すまし汁・丸餅/焼
醤油で仕立てたすまし汁に、伝統野菜のかつお菜と、縁起物のぶりを使ったお雑煮。かつお菜はかつおだしのような旨味のある野菜で、さらに「勝男菜」と連想できることから縁起が良いということで、この地域のお雑煮に欠かせない食材です。だしに使われるのは、基本的に焼きあごで、かつおぶしや昆布が入ることも。他には大根、にんじん、かまぼこ、里芋、しいたけなどの具材が入ります。
島原具雑煮【長崎県】
すまし汁・丸餅/煮
肉や魚、野菜などいろいろな食材を煮込み、ボリュームもたっぷりな島原地方の郷土料理。このお雑煮が作られたきっかけは、島原の乱といわれています。戦いの時、山や海から様々な食材を集め、餅と一緒に炊いて食べたというのが始まりで、多種多様な具材から栄養をとりやすいのもポイント。地元では季節に関係なく島原具雑煮を食べられる定食屋があり、家庭料理としても根強いお雑煮です。
納豆雑煮【熊本県】
すまし汁・丸餅/煮
九州ならではの甘口醤油で仕立てた汁で作るお雑煮で、大きな特徴は丸餅を取り出して、別皿の納豆に絡めたり、お椀の餅に納豆を乗せたりしながら食べる点。また納豆にはたっぷりの砂糖を入れて食べる人も。他に入る具材は鶏肉や鯛、カキ、塩ぶり、根菜など、地域によってそれぞれ。山鹿市では、栗もまるごと入れて食されています。
さつまえび雑煮【鹿児島県】
すまし汁・丸餅/焼
焼きえびや干しえびでだしを取り、甘口の醤油で仕立てるお雑煮。お椀からはみ出すほどのえびが乗った見た目も特徴的です。具材にはいろいろな願いが込められています。例えば、えびには「長生き」、里芋には「子孫繁栄」、豆もやしには「まめまめしく働けるように」といった願いです。具材は他にも、にんじんやかまぼこ、干ししいたけといった食材が入ることもあります。
塩豚雑煮 【鹿児島県】
すまし汁・丸餅/焼
豚肉の塩漬けを使ったお雑煮。奄美大島や大隅半島では、江戸時代に琉球から豚食文化が入ってきて、肉を長期保存して食べるために、塩漬けで保存する習慣があったと言われています。お雑煮はかつおだしに塩で仕立てることが一般的で、白菜やなると、柚子といった食材と一緒に煮て食します。
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